カンタベリー日本人会会長のご挨拶
会長よりご挨拶
引き続き、カンタベリー日本人会の日本人会会長を拝命しました、松本陽子と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。
私たちは、同じ日本の文化・言葉・価値観を持つ仲間として、出会い、語り合い、支え合えることの大切さを、これまでの歩みの中で実感して参りました。
33年間のカンタベリー日本人会の歩みを支えてくださったすべての会員の皆さまに心より感謝申し上げます。
日本人会には、「存在意義」と「活動意義」の二つの大きな柱があります。
「存在意義」とは、同じ文化的背景を持つ者同士が繋がり、日本語や文化を共有しあえる「拠り所」としての役割を果たす事です。ニュージーランドに長く暮らしても、私たちの民族的なアイデンティティは変わりません。ここは、人と人が繋がる為の拠点であり、コミュニティーの窓口であり、「縁」を育て、広げる場でもあります。日本を離れて生活する私たちにとって、母語、文化や価値観を共有できる「居場所」や「帰属意識」を持つことのできる場所は大きな安心感に繋がります。日本人会とは、そうした安心感のある繋がりや出会いの機会を生み出す場であり、それが日本人会の存在意義であると思います。
『一樹の陰 一河の流れも 他生の縁』
「カンタベリーという一樹の蔭で出会った皆さんと、「集い」と「出会い」という一つの河の流れを共にすることも、すべてご縁あってのこと、大切にすべき巡り合わせ、たとえ一瞬の出会いであっても、それは偶然ではなく、大切なご縁です。この地に暮らす仲間と出会えたことに感謝し、育て、継承していくことこそ、日本人会の存在意義の一つだと考えています。皆さまが日本人会と繋がりつづけてくださることが、日本人会の存在への大事な要素です。
「活動意義」とは、外部への働きかけと内部への働きかけの二つの面に分けられます。
外部への働きかけは、日本語・日本文化の継承、生活の情報共有、領事館や地域との連携、そして災害や緊急時の支援体制との連携など、地域に根ざした具体的な役割も担っております。日本人会はこれまでの活動により、社会、地域と繋がり、文化交流や地域貢献をすることにより、社会的信頼を築いてきました。こうした積み重ねは、日本人会がニュージーランドの多文化社会で認識され、より生活しやすい環境作りに繋がっていく事にもなります。2011年のクライストチャーチ地震では、日本語で助け合えることの大切さを実感された方も多くいらっしゃいました。この会を通して出会ったご縁を大切にしながら、共に歩んでいければと思います。
内部への働きかけとしては、会員間の交流やイベント等を通じて親睦を深め、相互扶助や情報交換の機会を生み出し、出会いと繋がりの場を作る事が大切な役割の一つです。現在も継続的に行われている倉敷ガーデンのWorking Beeでは、ガーデンを訪れる方々より感謝の言葉をいただくことも多く、また懇親会では、日本語で気兼ねなく会話ができる場になり、新しい交流の場として喜んで頂いております。 また、会員の皆さまのニーズに合わせたセミナー等の開催も大事な要素であり、全ての世代の会員の方々が参加できる機会を作っていく事が課題だと考えております。
次世代への継承 ~『縦の糸を紡ぐ』 ~
同世代の方々との「横の糸」の繋がりに加え、異なる世代との「縦の糸」も、学びと気づきの宝庫であり、双方が組み合わさって、一枚の美しい織物が形成されます。本年度の総会での承認により、ユース会員が理事に参画し、若い世代が活動に関わってくださる機会がさらに広がりました。これは、次世代への継承という大きな目標に向けた一歩だと感じています。
ご縁があってこの地に集った私たち、カンタベリー日本人会という「一樹」のもとで、それぞれの花が咲き続けるように、そしてこの会が次の世代へと受け継がれていくよう、尽力していきたいと思っております。
今後とも皆さまの温かいご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。